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日本居住者の外国人が国外有価証券を譲渡した場合の課税関係

                               

Posted date:2025.07.16 Author:Eisuke Yasuda

日本の「非永住者」が国外で所有する有価証券を売却した場合、そのキャピタルゲインが日本で課税されるかどうかは、その有価証券の売却時及び取得時の本人のステータスによって結論が異なります。

1. 売却時点で、「永住者」か「非永住者」か

永住者と非永住者の区分は、<こちら>の記事をご参照ください。

売却時点で永住者に該当する場合は、全世界所得に課税されるので、当該有価証券の譲渡に係るキャピタルゲインは課税対象となります。

非永住者に該当する場合は、課税のルールが少し複雑です。

2. 売却時点で非永住者の場合の課税関係

非永住者の課税範囲は、原則として、国内源泉所得、及び、国外源泉所得のうち日本国内で支払われたもの、または国外から日本へ送金されたものとなります。

※「国内源泉所得」とあるのは、税法上、正確には、「国外源泉所得以外の所得」ですが、ここでは簡略化して「国内源泉所得」と表記します。

つまり、国外で発生し、国外で支払われ、日本へ送金もされない「国外源泉所得」は、原則として日本の課税対象外となります。詳しくは、<こちら>の記事をご参照ください。

国外有価証券の売却によるキャピタルゲインは、税制の改正の影響を受け、以下の通り、その有価証券の取得時期や取得時のステータスによって、国外源泉所得に該当するかどうかが異なります(いずれも、売却時点では非永住者であることを想定しています)。

① 2017年3月31日以前に取得した有価証券の場合

当該国外有価証券の売却によるキャピタルゲインは、取得時の居住ステータスにかかわらず、国外源泉所得に該当し、送金があった場合にのみ課税されます。

② 2017年4月1日以降に取得した有価証券の場合

②-1 その取得時に非居住者だった場合

当該国外有価証券の売却によるキャピタルゲインは、国外源泉所得に該当し、送金があった場合のみ課税されます。

②-2 その取得時に非永住者だった場合

当該国外有価証券の売却によるキャピタルゲインは、国内源泉所得に該当し、送金の有無に関わらず課税されます。

つまり、取得時と売却時の両時点において非永住者であった場合は、2017年4月1日以降に取得した有価証券に限り、送金課税の原則が適用されない、ということが最も重要なポイントです。

課税対象となる場合は、申告分離課税となります。

3. ケーススタディ

ケース1:課税されない例

  • 2016年に母国で取得した米国株を、2025年に日本の非永住者として滞在中に、米国の証券口座で売却。利益は米国の銀行口座に保管。
    • 判定: 取得が2017年3月31日以前のため、取得時の居住ステータスにかかわらず、キャピタルゲインは国外源泉所得となります。日本への送金がないため、日本の課税対象外となります。

ケース2:課税される例

  • 2022年に日本の非永住者として滞在中に、米国の証券口座で米国株を新たに購入。これを2025年に同口座で売却。利益は米国の銀行口座に保管。
    • 判定: 取得が2017年4月1日以降であり、かつ「非永住者」の期間中に取得しているため、キャピタルゲインは国内源泉所得とみなされ、日本への送金がなくても課税対象となります。

まとめ

日本の非永住者による国外有価証券の譲渡課税は、上記のように複雑なルールとなっています。ご自身の状況がどのケースに当てはまるか、また確定申告の要否や具体的な計算方法については、国際税務に詳しいYASUDA-Accountingにご相談ください。

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