外国法人が日本の消費税の課税業者となるケース②物品販売取引
Posted date:2023.03.05 Author:Eisuke Yasuda
前回の記事では、外国法人が日本の消費税の課税業者となる可能性がある取引のうち、役務提供に関するケースを紹介しました。今回は、外国法人が日本の消費税の課税業者となる可能性がある取引のうち、物品販売に関してよくあるケースを紹介し、インボイス制度への影響を考えてみます。
取引形態
Amazon等のECプラットフォームで、日本国内に恒久的施設(Permanent Establishment: PE)を持たない外国法人が販売業者になっているケースがあります。外国法人が日本へ商品を輸出し、当該外国法人自身が日本で輸入者になり、それをAmazon等のプラットフォームで販売する、という流れです。
日本の消費税の観点からこの取引を見てみると、以下のようになります。
- 日本への輸出取引は免税となる。
- 日本における輸入には輸入消費税が課税される。
- 日本のAmazon等における国内の消費者への販売は国内取引として消費税が課税される。
あるいは、商品を日本へ輸入せず、外国法人が日本の別の業者から日本国内で買い付け、それをそのまま日本のAmazon等で販売する、というケースもあり得ます。この場合は、仕入及び販売のいずれも消費税上は日本の国内取引となり、消費税課税取引となります。
申告納税義務
基準期間における日本国内で課税資産の譲渡等の対価が1000万円超であった場合は、消費税の納税義務があると判定されます。基準期間は、外国法人の決算期で判断します。
役務提供の場合と同様、国内に住所がない国外事業者については、申告書・届出書の提出や税金の納付等、国税に関する事項を行うために納税管理人を選任する必要があります。
インボイス制度の影響
プラットフォームが、店舗に対して適格請求書発行事業者かどうかを開示させる形になれば、消費者側から適格請求書の発行要請に応えるため、本来は免税事業者と判定される国外事業者も、適格請求書発行事業者として登録するケースが増えると予想されます。